アメリカでHNRNPH2治療薬臨床試験開始予定

年始に起こりました令和6年能登半島地震でお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げるとともに被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

年末年始にかけて、当会が協力して活動している国際的なHNRNPH2の患者会 Yellow Brick Road Project(YBRP)よりnewsが入ってきました。

アメリカの非営利財団で世界で患者数が30人以下のような超希少疾患のためにASO treatmentを開発して患者に提供しているn-lorem財団の協力でHNRNPH2の治療薬 ASO treatmentの臨床試験が年内に始まる予定であることが分かりました。

HNRNPH2の専門医であるコロンビア大学のバイン先生から患者会に向けてメッセージとオンラインでの説明、質疑応答の時間が設けられました。当会の代表も参加しましたので現在、分かっている情報を記載します。

・一人の米国在住の7歳の女児に投与予定

・HNRNPH2の変異の型に関わらず効果が期待できる(動物実験の結果より)

・既存のASO treatmetと同様に脊髄注射で定期的な投与が必要(SMA治療薬のスピンラザを例に話されていた。)

・プロトコールは現在作成中であるが、1ー2年間の期間を想定

・米国の施設要件をクリアし、また専門知識を持った臨床医(小児神経科医、腫瘍内科医など類似の手技に経験のある医師との説明)による投与が必要

・n-loremは上記の臨床医からの申請を受け付けている

ここからは、私の感想にはなりますが、いち早く患者会に透明性高く、正直に誠意を持って説明したい、というバイン先生の真摯な姿に患者会の皆が厚い信頼を寄せていることがよく理解できました。また、投与予定の患者さんとご家族は、実際、私も昨年の夏にフロリダで開かれたAnnual meetingでお会いしたとても素敵なご家族です。

実際、ご家族も希望と不安が入り混じり、複雑な気持ちかと思いますが、透明性高く経過を情報共有するという勇敢な姿、そして、ご家族に対して世界中から激励のメッセージが届く様に感動を覚えました。

日本からも患者さんとご家族の生活がより良いものとなるように心からお祈りしています。

現在のところアメリカ以外の患者が臨床試験に参加可能かどうかは分からず、情報収集の段階です。引き続き、当会では情報収集し、日本語で情報を発信していきます。

仮に参加可能だとしても、渡航費や滞在費などの問題もあり、現実問題、参加は難しいとは現段階では感じていますが、治療薬の臨床試験が開始という非常に重要な第1歩であり、次に繋がると考えています。

下記は海外患者会 YBRPのプレスリリース全文(翻訳)です。

親愛なるHNRNPH2コミュニティ

ジェニファー・バイン博士が、非営利団体であるn-Lorem財団との協力により、パイオニアである患者さんに治験用ASOを使用した治療を行うというニュースは、私たちイエロー・ブリック・ロード・プロジェクト一同に、HNRNPH2患者さんの未来に対する大きな希望と興奮をもたらしました。

n-Lorem、バイン博士、そしてYBRPは、hnmph2に罹患している一人でも多くの患者さんを助けることに全力を尽くしており、FDAとの透明性を通して、要求事項との整合性を維持することに断固として取り組んでいます。

HNRNPH2の国際的な患者支援団体となるべく、2017年に研究を加速させるための活動を開始したとき、私たちはすぐにでも治療法が見つかるという期待を抑えるように言われました。

それからちょうど7年後、YBRPは、2016年にこの稀な遺伝的X連鎖性神経発達障害に関する最初の論文を執筆し、臨床面ではHNRNPH2の主任研究者であるジェニファー・バイン博士を最初の患者として含む患者をつなぐ役割を果たしたことに、強い達成感と感謝の念を感じている。

YBRPが結集した科学的ネットワークには、数年前からn-Loremが含まれており、私たちは、ナノ希少患者のためのASO治療開発分野における世界的専門家が率いる、このような寛大で思いやりのある非営利機関と提携できることを誇りに思います。

パイオニアとなる最初の1人の患者を紹介しても、この人生を変えるような症状を持つすべての患者を助けるというYBRPの当初の使命は変わらない。

つまり、実験的なn-of-1試験の多大な負担とリスクを受け入れてくれる先駆者が、私たちの中に存在しなければならないのです。

このプログラムと、開発中、そして願わくば治療中に得られるであろう情報によって、私たちがこの病気と治療の可能性について学ぶことは、私たちが1人だけでなく多くの人々を助けるために共に歩む、コミュニティ全体の助けとなることでしょう。

最初の探索的なASOを投与される勇敢な患者を紹介できることを光栄に思う:7歳のロージー・グレンちゃんです。

私たちは、このH2患者とその家族を、試験中に待ち受けているすべてのことに耐えるために必要な不屈の精神で包んであげましょう。ロージーの私たち全員への奉仕、希少疾患への奉仕、そして現代の医学全体への奉仕に感謝するばかりであろう私たちのコミュニティからの愛と支援、そして祈りを捧げましょう。

YBRPでは、この臨床試験の進展について、できる限り最新の情報をお伝えしていきます。ロージーの両親であるニコールとボビーは、n-Lorem臨床試験での経験について、できる限り私たちのコミュニティに情報を提供することを約束し、すべてのHNRNPH2患者の治療へのアクセスを支援する活動に従事するYBRPの警戒心を共有しています。

私たちはこの旅の中で、頂点を極めるマイルストーンに到達しました。HNRNPH2変異に関する最初の臨床試験です。

私たちは決意を新たにしています。

YBRP理事会を代表して、

トリッシュ・フラナガン

会長

イエロー・ブリック・ロード・プロジェクト(YBRP)

2023夏 フロリダ YBRPのミーティングにて